蒼かぜのこだわり
私は大学時代から含めてたくさんの有機農家さんと交流させていただきました。
そのなかで強いこだわりをもっている有機農家さんは少なくありません。
種にこだわる、土にこだわる、資材にこだわる、効率をこだわる…有機農業に対する想いも各農家それぞれです。想いや方法は十人十色であることを私はこの数年間で実感しました。
さて、かく言う私のこだわりはというと…
「特にありません」
期待させてしまった方には申し訳ございません。
私が農業に関わるきっかけとなったのが有機農業であり自然好きだったということから、自分が営農する場合は有機農業であることには疑いの目をもちませんでしたが、細かなこだわり自体はないんです。
強いて言うならば、私「山田智貴」という人間が里山で農を営むことができる方法でやるということ。
農に関わるという意志だけは強いので、これから先何十年も農を営めるような工夫はしますが、そのためには縛りは設けたくないのです。
強引な言い回しをするなれば「こだわりがない、というこだわり」なのかもしれませんね。
なぜ敢えてこんな言い方をするのかというと、
蒼かぜの願い“農や食、自然への関心が芽生えるような人を増やしたい”から。そのようなキッカケとなる場所に蒼かぜがなるために、私は基本ひとりで農業をしていくことになります。里山でひとりで有機農業に従事する。非常に大変な挑戦です。そこに方法やこだわりによって強い縛りを設けて農が営めなくなったら元も子もありません。私の活動における軸を見つめ続けた結果、いきついた私の考えです。
一方で皆さんはどんなこだわりがありますか?
例えば食選択。
どこで買うのか。スーパーか直売所か農家から契約購入か。
購入基準は何か。値段か産地か栽培方法か。
きっと皆さん自身もたくさんの選択肢の中から何かしらのこだわりがあって行動していることも多いと思います。そう、選択肢はたくさんあるのです。
蒼かぜが目指すひとつのゴールは、皆さんのなかに“さとやま自然農園 蒼かぜ”という選択肢を増やすこと。
皆さんの手札の中に蒼かぜというカードが増え、そのなかで皆さんのこだわりで何のカードを使うのか判断すればよいのです。
選択肢が増えれば、豊かになれる。
私はそう思っています。私がこの道に進んだのは、大学3年生のときに“有機農業”という選択肢を知ったから。
その選択肢を知らなかったら、きっと企業や公務員に就職という道しか用意されていないと思い込んでいたでしょう。
選択肢という手札があることの重要さをひしひしと実感した経験でした。
だから蒼かぜではできるだけたくさんのカードを用意しておきたいと考えています。
蒼かぜの野菜を食べる、という食の選択肢。蒼かぜで農作業のお手伝いや実際に作ってみる、という農の選択肢。蒼かぜがある里山に行く、という里山との関わり方の選択肢。などなど。
皆さんの食の選択肢に。農業や里山との関わり方に。“さとやま自然農園 蒼かぜ”という選択肢が増えてくれたら嬉しいです。